ずいぶん久しぶりの投稿になってしまいました。2025も終わろうとしています。
本当に今年はいろんな事がありました。
三月末に靭帯を痛め松葉杖初体験、保存療法で回復に努めましたが、それから3か月ほど経ってある程度治っても正座や立居ができません。舞台には高さを調節できる補助の椅子を使わせていただいて、能の地謡で後列に座らせていただくのがやっとでした。
ただ上半身は問題がなく、これまで通りストレッチをして背筋が緩まないように意識してすり足で歩く稽古は続けていました。7月から定式能や別会での仕舞や舞囃子は立った状態から立ち居のないものをさせていただくようになりました。
初めはそんなに甘えさせていただいていいのだろうかとも思いましたが、今出来る形を精一杯やって、その姿を観ていただくのもいいのかもしれない、と観念しました。
茶道に立礼式があるように、歳をとったり怪我をして立居ができにくくなった方へ「こんな形でも仕舞を舞うことができますよ」というメッセージになればいいかなと思っています。そのためには、立ったままでも「仕舞っていいな」と思っていただけるように稽古はしっかりしなければ…。
謡はもちろん問題ありませんから、稽古も元通りさせていただいていますし、「声の道場」の依頼もお受けして、これまで以上に体験講座をさせていただいています。
いろいろとできない悔しさもありましたが、そのできない時間を使って嬉しいこともありました。
ここ5年間の緑桜会のブログを編集した「声の道場Ⅳ〜能の力を日常に〜」を11月に出版させていただくことができたのです。前から思いはありましたが、なかなか取りかかれずにいました。今回図らずも家での時間ができたことで前に進めました。
これまでの自分と能の繋がりを振り返り、声の道場のあり方をもう一度見つめ直すことになりました。両親やお世話になった先生方へ改めて感謝の気持ちを思い返す事もできたのです。
いいも悪いも含めて、喜寿の歳をいい形で過ごすことができたのはとてもありがたいことでした。
まだ膝の調子は安定しませんが、「今出来ることを精一杯」の気持ちで来年も過ごしていきたいと思います。