女性アナウンサーの声

朝日新聞の天声人語に、日本の女性アナウンサーの声が高い、ということが取り上げられていました。

私は和のボイストレーニングとして「声の道場」を始めて、あまりに日常の自分の声に悩む人が多いことに驚きました。
その原因が日本語の特徴として口先だけ

で話せるということがあるために、
「息を遣わず本来の自分の声で話せてない」
ことだということに気付きました。
その弊害は体の健康にも、コミュニケーションがうまく取れない精神的悩みにも繋がるということを多くの人に知らせたいと平成20年に
声の道場〜日本の声が危ない〜
という本を書かせて頂きました。
ワークショップとしての「声の道場」開講や、その本を読んでの個人的な受講申し込みもあり、相当数の方の「声の悩み」に向き合ってきました。
「本来の自分の声を見つけるお手伝いをしたい」
と…。
けれども、これまでそれを危惧するような、関心があるような文章に出会ったことはなく、今回が初めてでした。
少し抜粋させていただきます。
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……いま気になるのは、女性アナの声の大きさではなく高さだ。海外で見るニュース番組では低い声なのに、日本は細くて高い声が多い。
音声認知の専門家の山崎広子さんは小紙デジタル版で「日本人女性のしゃべる声は、世界でも最も高い部類だ」と話している。民放の女性アナ10人の声の周波数を測ると、米独中などと比べて格段に高かったそうだ。山崎さんによると、高い声は「未熟、弱い、可愛い、保護の対象といったイメージと結びつく」という。そうあるべきだという偏見のもと、無意識のうちにのどに負担をかけて地声を変えさせられた女性もいるかもしれない。
先日公表されたフジテレビの第三者委の報告書には、女性アナの対応に「所有物感」を感じるという社内の意見もあった。誰のものでもない、自分の声で話せているか、考えてみる。
R7 4/9 
朝日新聞天声人語より

https://www.asahi.com/articles/DA3S16190179.html
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私もいろんな方と向き合って、自分の声で話せてない人の特徴として、感じていたことがあります。
女性の場合は、若い頃から高い声で話していたが、歳を取るにつれ日常の声が出なくなった、すぐ喉が痛くなる、という悩みの方がとても多いのです。
「相手に自分の意見が届かない」「なかなか否定ができない」
という特徴もありました。
作った声は息が十分に遣えてないので、呼吸法の練習から始め、体のどこで響くのが本来の自分の声かを発声練習で見つけていきました。効果として

・息が続くようになった

・笑い声が変わった

・嫌なことを断れるようになった     

・謡が謡えるようになった


というようなことがありました。

女性はもともと自分本来の声が低くても、高い声で話そうとして自分の本来の声を知らず知らずに使えなくなってしまう人が多いようです。
自分からそうしようとしたというより、子供の頃から、女の子は可愛く女らしくあるべきという、これまでの日本社会のあり方の影響、そして日本語があまり息を遣わず口先で話せてしまうという特徴も関係したかもしれません。またその特徴によって「日本人は仕事によって声の高さが変わってくる」という事例も多くありました。

英語やドイツ語など西洋圏の言葉は息をしっかり使わないと発音できないので、別の声を作るということができにくい、自然な声で話せるということなのかもしれません。(詳しくは「声の道場〜日本の声が危ない〜」を読んでいただけると嬉しいです)

多くの人が読まれる新聞記事の中に
「自分の声で話せているか、考えてみる」
という言葉を見つけ、本当に嬉しく思いました。
たくさんの方に気付いてほしいと願っています。

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