一昨年の暮れに「声の道場」に参加なさった男性があります。舞台や映画、テレビに出演なさっている俳優さんとのこと。
参加のきっかけを伺うと、
「大学の頃から演劇をやっていて、声には自信かあったので、声にまかせて演技をしていたけれど、40歳を過ぎてこの発声ではだめなのではないか、と思うようになった。尊敬する先輩に相談したところ、日本の古典の語り物を稽古するといい、と言われた」
ということでした。
そこで(和の発声)で検索をしたところ私のブログを見つけ、「声の道場」に申し込まれたのだそうです。
二三回通われ、和の構えをお教えし、大きい声を出さずに、言葉を体に向けて発する、声を体に響かすという稽古をしていたら、お腹にこたえる感じが分かって、謡の稽古をしてみたいということになりました。
そこで改めて謡本での稽古を始めました。月に一度、1時間の稽古ですが、とても熱心に稽古してくださり、1年過ぎた頃には謡らしい声になってきました。
そして最近いらした時
「セリフに何か変化はありましたか?」
と伺ったら
「息が続くようになったし、言葉が自然に話せてる気がする」
「お腹を使ってる感じがある」
とのこと。
とても嬉しくなりました。
趣味で謡の稽古をして楽しむ方は多くいらっしゃいますが、その数は昔よりは少なくなっているような気がします。
「声の道場」を始めたからかもしれませんが、この頃私の会では、自分の仕事や趣味のため、または日常で話す声の悩みのために和の発声を体験し、その繋がりで謡の稽古を始める方が増えてきています。そういう方は、発表会などに出演するということは難しい場合もあります。それでも和の発声には「謡が役に立つ」と、能の力を感じて稽古をしてくだされば、私はそれだけでやり甲斐を感じます。
日常や、自分のやりたいことの為に「声の道場」に通って「その効果があった」ということを感じていただけるのが、そして稽古がその方の健康に繋がることがとても嬉しいのです。
今年は外部団体からの依頼で「声の道場」を開催することがとても多いので、是非そんな方が多く参加してくださることを楽しみにしています。