体験講義の感想文から

10月の初めに体験講義をさせていただいた学生さん方の感想文が、講義から二週間ほどして届きました。
その時さっと目を通させていただいただけでも、私が想像していた以上に皆さんに思いが伝わっていることがわかり、とても感動しました。
そのことをブログに取り上げたいと思ったのですが、11月の「繋の会」から12月の定式能にかけて例年以上に忙しく、まとめられずにいました。
昨年末、舞台が終わって一息ついたところで改めてゆっくり読み直してみました。

60人ほどの感想文、ほとんどの人が、姿勢と呼吸についてしっかり受け止めてくれていました。その後の生活でいろいろ試してくれたようです。
「接客のアルバイトの時に姿勢を意識して声を出したらいつもより響いて相手に届きやすかった」
「歌を歌うときに習った呼吸を意識して歌ったらいつもよりずっと長く歌えるようになった」
「今回の講義を受けてから数日、何となく動くのではなく、自身の身体を自身が操るような意識を持ってみると、以前よりは所作の乱暴さが減ったように思った」
「腰を持ち上げるように立ち上がる、腰を意識して回ると無理なく動けて感動した」
「習ったように、階段を腰を持ち上げるように上るを意識するだけで、とても楽に上れて、その上いつもより全身の運動ができているように感じた」
「普段何気なく行っている呼吸にも正しい姿勢が存在し、それを行うことで発声だけではなく健康的な生活にも繋がっていくということを聞いて、姿勢を正すことの正当性を能の技能を通して改めて実感できた」
「最も関心を持ったのは、人間の体は想像以上に管として機能しているということだった」
などなど、まだまだこちらが感動するほどの感想が数多くありました。


またバレエを習ったことのある学生の
「バレエの姿勢は息を止めるような静止の美しさだが、今回習ったのはいつでもすっと立ち上がることができるような、動的な美しさを保有する姿勢でとても新鮮な構えだった。軽く前傾して腰を立てながら背筋を伸ばすと、いつもは使わない筋肉が悲鳴を上げた。これは良い悲鳴なのだと講義のお土産にさせてもらった」
という感想には、驚きました。
私は能は「ただ立っているときも重心は片足にありいつでも動き始められる」「下に居るときも前に重心がありすぐに立てる」そういう構えが大事だと思っているのですが、それを一回の講義で感じ取ってくれているのにビックリしました。

これほどの受け止めをしてくれた若い人たち、人の話をしっかり受け止める 教育をしてくださっている先生に、こちらが感動させていただきました。
今年もまた講義を、とお声を掛けてくださっています。今からとても楽しみです。

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