梅と桜

能「東北」のご案内

桜の季節が駆け足でやってきました。今年の春は、2月もそうとは思えないような暖かい日が続いたこともあり、梅の花はほころぶというより、一斉に開花してしまいました。
「梅一輪一輪ほどの暖かさ」
というように、寒い中で少しずつほころんでいく梅が大好きなのですが、異常気象はこんなところにも影響するのですね…。

さて、梅の季節は過ぎてしまいましたが来る5月16日(日)に、梅流会にて能「東北」を勤めさせていただきます。あまり上演されませんが、本当に能らしい夢幻能で私の大好きな曲です。

<あらすじ>
春の初め、東国の僧が京へ上り、東北院を訪ねます。美しい梅を見つけて、近くの人にその名を尋ねると「和泉式部」と教えられます。しばらく眺めていると一人の女が現れ、梅の名はそうは言わない、好文木とも鶯宿梅ともいって、和泉式部が愛でた「軒端の梅」なのだと教えます。そして自分は「この花に住むもの」と暗示し花の陰に消えてしまいます。(中入)
僧が読経していると和泉式部の霊が昔の姿で現れます。当時を懐かしみ、多くの和歌を読んだことで歌舞の菩薩になったと和歌の徳を称え、東北院の在りし日を回想し、春の夜の梅を愛で舞を舞います。そして「花は根に鳥は古巣に帰る」と僧に別れを告げ、「こここそ花の臺(うてな)」と方丈に入るかのように消えて僧の夢は覚めたのでした。

寒い中に凛として咲く梅が大好きで、2月に生まれた次女にこの「東北」のシテ和泉式部から「和泉」と名付けた経緯もあり、一度は舞ってみたい能でした。
ほぼストーリーは無いようなものですから、中入り前の「この花に住む」「我こそ梅の主」という言葉から、和泉式部というより梅の精をイメージして舞ってみたいと思っています。

緊急事態宣言も解除されず、まだまだ世の中は落ち着きません。お出かけが難しいことと思いつつ、ご案内させていただきます。もしお運びいただけるようでしたら、世の喧騒を離れてゆったりした時の流れをお過ごしいただければ嬉しく存じます。
会の詳細は「公演・イベント情報」をごらんください。

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