膝と骨盤の関係

だいぶ前のことになりますが、催し5日前に能の地謡の代役をいただきました。期間がなくて覚えるのも大変でしたが、それよりもこのところ不安のある左膝が1時間半以上保てるかが心配でした。立ち居や舞は問題ないのですが、地謡座でなるべく動かないことをポリシーにしてる私にとっては大問題でした。
お尻に敷く布団や座椅子もこれまで使わずにいました。皆から
「もうそういうものを使ってもいい歳だよ」
とも言われ、使ってみることにしました。
これも急ごしらえでなかなか収まりがうまく行かず、いろいろ試しているうちに、今度は足がつるというアクシデント…。やっぱり急しのぎはだめだなと思いました。
今後地謡に座る時に使うのであれば、自分の座り方に合うものを探さなくては、と思います。材質や高さ幅などをいろいろ試してみようと調べています。
その時は大変な思いをしましたが、それでもひとつ得るものがありました。それは、このところブログに上げている膝と骨盤の関係です。
地謡の時に謡っているときはそちらに集中するせいか、痛みは薄くなるのですが、しばらく謡わないときにはどうしても痛みに気が行ってしまいます。
代役で座った折は、これから序之舞が始まり、しばらく謡わないという時「もう保たないかも」と折れそうになりました。その時にふと思いつきました。
「骨盤を締めると体が引き上げられ少しは膝の負担が減るかもしれない」
と。このところ膝と骨盤の関係を常に感じていたからかもしれません。
思い切って右寄りになっていた重心を中心にもどし、きちんと正座をし直しました。そして、グッと骨盤を締め内蔵を上に持ち上げるようにしました。するとお尻の筋肉が持ち上がり、フッと膝へかかっていた重みが減ったのです。それを続けるのもそれなりに大変でしたが膝の痛みが減ったので我慢できました。ずっとその体勢をしている内に、「ゾーンに入った」というか、何も感じなくなりました。
気が付くと舞は終わりに近づき、あとはキリを謡うだけになっていました。その時は本当にホッとしました。地謡に座っていて足が気になり、その曲にまるで入り込めなかったのはとても悔しくはありましたが…。

こんなに正座をしなければならない仕事もあまりありませんし、他の人には必要ないかもしれませんが、もし正座をしなければいけなくなったときに、痛かったり痺れたりしたら、骨盤を締めて体を持ち上げてみてください。膝への負担が減り、少しだけ楽になるかもしれません。
また、椅子に長く座っているときも、時々腰を起こし骨盤を締めて体を上に引き上げることをすると、立ち上がる時に楽だと思います。

これまでも長い能で地謡に座り、動かずに頑張り、終わったあとに「痛かった〜」ということはよくありましたが、慣れない座り方をしての辛さはそれ以上でした。
大変な思いをしましたが、新しい発見もあり、私は転んでもただでは起きない、と嬉しさも残りました。

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