囲碁の名人が、インタビューで大事にしている言葉を聞かれ「而今(じこん・にこん)」と答えられたそうです。「しこうして今」という読み方もできます。仏教の言葉だそうですが
「過去は変えられない、先のことは思うままにはならない、今できることを精一杯する」
というようなことでしょうか。
言い方は違っても昔から母に
「今を大事にしなさい」
といつも言われていた私は、当たり前のようにこの言葉が入ってきました。
昔のことを忘れていて思い出せないときなどは、冗談混じりで
「ごめん、今を生きる女なので」
などと笑いにしていました。
大リーグで活躍しているダルビッシュ選手の名言の中にもあります。
「今をしっかり、周りの声は気にしない、自分でも悪い方向を考えない」
これも、終わったことをあれこれ言われても気にしないで、先のことを心配しないで、今をしっかりやればいい。而今です。
そういえばWBCのポストシーズンであと一つ負けたら終わり、という時のインタビューで、ドジャースの大谷翔平選手が、
「崖っぷちなんて思わない。あと2つ勝てばいい」
と当たり前のように言っていましたが、終わったことは気にせず先の心配をせず、今できることに専念!という、雰囲気でした。而今という言葉が当たり前のように身についている二人、さすがだと思いました。
この文章を書いている途中、ドジャースがワールドシリーズを制覇しました。左肩の亜脱臼の中出場し続けていた大谷翔平選手、悲願達成の瞬間でした。今を大事にし続けてきた積み重ねを、また今現在起こった不運もすぐに過去としてしまう凄さを目の当たりにしました。
令和元年出版の「声の道場3〜人間力を取り戻そう〜」で、私は大谷選手のことを取り上げました。人間にとって「バランス」がいかに大事かを述べている部分で、「体と心のバランス」が素晴らしい青年、という例としてでした。彼が高校の時に作った「目標達成シート」も載せています。
当時はまだ、「大谷凄い!」と言っても、野球に関心が無い人たちには知らない人が多かったのですが、今では子どもからお年寄りまで知らない人はいない程の大スターです。
それでもなお変わらず「起こったことを悔やまず今を大事に」前を向いて自分の道を進む大谷選手、周りへの良い影響は計り知れないと思います。
「而今」を体現している人、これからも見続けたいと思います。