いろは

仰向けでイロハ

自粛生活のなか、LINEでのお稽古を始めたとき、「家族が皆家に居るので声を出しての稽古ができない」という方がありました。私も思うように声を出しての稽古ができず、お腹の力が緩みそうな気がしていたところだったので、いろいろ考えました。

声の道場の稽古の一環で使っていた「イロハ」を声を出さずに息だけで言うのはどうだろう?でもこれは構えができてないと効果がない……、そうだ顔が前にでないように寝てやったらどうだろう?

  1. 仰向けに寝て力を抜き、手をお腹の上に置き、ゆっくり腹式呼吸をする。
  2. 息が入った瞬間にお腹で息を止める。
  3. その状態のまま口の中で「いろはにほへとちりぬるをわかよたれそつねならむうい(ゐ)のおくやまけふこえてあさきゆめみしえ(ゑ)ひもせす」と息だけで唱えるように続ける。
  4. 一巡言えたら息継ぎをせず二巡目に入り続け、どこまで言えるか確かめる。
  5. 最後にお腹が苦しくなったらグッとお腹を張ってもう一頑張りする。
    この一頑張りがお腹を鍛える

毎日続けているとイロハを言える量が少しずつ増えていきます。最後に頑張るとき、腰が床から浮いてお腹を押す感じがしたら、それが「腰を入れる」という感覚!

正座して謡を謡うときも、立って舞を舞うときも、その感覚が役に立ちます。謡や舞をしていない人でも、腰を意識することは話す声や体の動きにプラスになると思います。

弘法大師


「イロハ」は弘法大師が手習いのために作られた歌だと言われています。
「色は匂へど散りぬるを 我が世誰そ常ならむ 有為の奥山今日越えて 浅き夢見し酔ひもせず」
48文字が一字も重ならずに入っているので、子音を自然に発音するのにいい稽古になります。不自然な発音があると、文字移りが悪くスムーズに続きません。声を出していると、自分がちゃんと言えてない子音がわかりませんが、息だけだとよくわかります。

お腹を作りつつ、発音も直す、とても有効な稽古法だと思っています。

関連投稿

検索語を上に入力し、 Enter キーを押して検索します。キャンセルするには ESC を押してください。

トップに戻る