新しい目標

昨年末の「女流能に親しむ会」で舞った舞囃子「山姥」は私に新たな目標を作ってくれました。
若い頃からの課題曲でありながら、師匠の素晴らしい能を何度も拝見し大好きな曲でありながら、仕舞では何度か舞いましたが、能として取り組むこともなくこれまで来てしまいました。とても自分の力でこの能を舞うのには、イメージを創ることもできず、太刀打ちできないと感じていたのです。
「女流能に親しむ会」で「舞囃子を通して能を楽しむ」という企画をして、それぞれ会員が何を舞うか決める時、「立ち廻り」を入れた舞囃子でもう一度「山姥」に挑戦してみようと思い立ちました。
「山姥を舞う」と題してブログに上げたところ、いろんな方から山姥に対する思いや考え、質問もいただきました。ラインやメールのやり取りを通じ、自分の考える山姥のイメージが少し膨らんできました。これって「正解はないよな」とも思い、最終的には観てくださる方に「山姥って何者だろう?」と感じていただけたらそれでいいのでは、と思うに至りました。基本をしっかり踏まえた上で、師匠にお直しいただいたところを素直に気をつけ稽古を重ね、申し合わせ、本番に臨みました。
会の後にいろいろ感想を頂いた中、何も説明せずに急に来て観てくれた娘が「中性的な感じがして、ママじゃなくて何者かに見えた」と言ってくれたのは、結構嬉しい表現でした。また「山姥の能を観たくなった」という感想も多くいただき、これもとても嬉しいお言葉でした。
「舞囃子を通して能へ」「能が観たくなる舞囃子」
そんな舞囃子をいつも演じたい、そういう思いがだんだん強くなってきました。会当日はいらっしゃれなかった師匠が申し合わせの舞台を見て
「この舞台は何かあなたのきっかけになるかもしれないよ」
と仰ってくださったのが実感として湧いてきたのです。
「能を感じる舞囃子を舞えるような会を催したい!」
今年はこれを私の新しい目標に掲げたいと思います。

ここまで書いて、ブログに公開しようと思っていた矢先、先日の大雪翌日、謡初と初会の申し合わせのためにでかけた折、アイスバーンで滑り尻もちをついてしまいました。腰に衝撃を受けたものの、どうにか立てて歩けたのでそのまま一日勤め、帰りに普段からお世話になっている接骨院で診ていただきました。
幸い骨は大丈夫だったのですが、衝撃で関節間の軟骨が圧迫され縮み、腱や筋肉などが緊張しているので、痛みが取れるのにしばらくかかるとの診断。しばらく安静にするように言われました。
翌日翌々日と日が経つにつけ痛みが酷くなり、寝返りが打てないほどになりました。もちろん腰を入れるという、舞や謡に不可欠の構えができない状態。そして20年近く続けてきて体を作ってきたトレーニングは禁止されました。痛みがない程度のストレッチを少しだけしています。「山村さんは言っとかないと無理してもするからね」と禁止令が出たわけです。
痛みが取れるまで何もできませんし、腰が元に戻るのか不安もあります。また、今年やりたいことを新年の目標としてスタートさせたばかりで、稽古も始めたところでもありました。
転んでから10日が経ち、少しずつ回復してきました。今は先にのべた目標のスタートラインを仕切り直しして先に伸ばし、信頼する二人の先生とも相談しながら体調管理に努めています。そして、この年齢でのこういう場合の対応、これも自分の引き出しにすることを目標の一つに加えて前に進みたいと思います。早速年頭に掲げた「なるようにしかならん」の精神でのスタートです。

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