報道ステーションで、WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)日本代表の選手たちの中から毎日一人ずつスゲストに迎え、松坂大輔さんがインタビューするという企画がなかなか面白く、なるべく見るようにしました。
それぞれの分野でスペシャリストともいえる選手ばかりですが、惜しげもなく目では気付きにくい深いところまで答えてくれるのです。
最初に見たのは走塁のスペシャリストとして選ばれたソフトバンクの周東佑京選手でした。
「塁を盗むときピッチャーのどこを見ているか」という質問がありました。投手が投球モーションを構えた写真を渡し、盗塁するきっかけを掴むために周東選手が見ているところに丸を付けてほしい、という要望でした。
すると、写真を見た周東選手はおもむろに、バックに写っている観客も含め、投手のカラダ全体を含み大きな丸で囲んだのです。どこということはなく、全体を見るともなく見ている、と。松坂さんは手や頭など体の部分を想像して質問されたのだと思いますが、びっくりされていました。
でも、私は「さもありなん!」と思いました。前にブログ「見る」と「見える」でも述べたのですが、
「なにか1つを見るとほかの物は見えなくなる」
ボーッと全体を見ていると、ちょっとした動きも目に入ってくるのです。
全ての投手の癖を覚えるのは大変だし、変わることがあるかもしれません。けれども周東選手の見方であれば、「ちょっとした変化がどこかに出るのを見逃さない」ということなのだろうと思います。
松坂さんは「そんなことは考えても見なかった」と驚かれたようでした。
練習試合が始まり、実況放送を見ました。周東選手は塁に出るなり、二盗三盗、観客もそれを期待して観ているのがよくわかります。盗塁するのがわかっていても止められない。凄い戦力です。「盗塁する目」がものをいっているのだ、と改めて思いました
私は何事においてもスペシャリストと呼ばれる人たちは、繰り返し練習や稽古をするうちに、そういう目や耳を育ててきた人たちなのだろうなと納得しました。