講座の楽しみ

朝日カルチャーの講座が終了しました。
人数はそう多くありませんでしたが、今回も熱心な方たちがお集まりくださり、とても集中して話を聞いてくださったり、実践してくださったり…。手応えのある講座になりました。
その中に見覚えのある方が…。
「前にも参加してくださいましたよね?」
と尋ねると
「3回目です!」
思い出しました。コロナ前の講座に二度参加され、介護のお仕事で、お年寄りに声が伝わらない、というお悩みでいらした方でした。
「確か介護のお仕事をなさってましたよね。何か変化はありましたか?」
と尋ねると
「最初の頃、お腹に力を入れてを意識し過ぎて“怖い”と言われたこともありました」
と笑いながらも
「先生のお話や本で興味を持って、能や狂言も観に行きました。先生の喜多能楽堂での外国人向けのワークショップにも参加しました。あの会場の椅子は、声を出すためにいい姿勢をしようと思っても難しいですね」
と、ここ何年かも声について意識していらしたようでした。私が
「あなたの前の声をよく覚えていませんが、今はとても聞き取りやすいですよ」
というと
「前に参加したときは、いつも聞き返されていました」
と、ニッコリされました。
きっとこの3年ほど、絶えず姿勢や声の出し方を意識していらしたのだと思います。その効果がしっかり出ているのがわかって、とても嬉しくなりました。

依頼されて伺う講座では、その後に個別に私のところにいらして稽古を続けられる方以外はその後の様子はわかりません。
初めは声の悩みでいらした方が、発声の練習で少し謡を経験しているうちに、面白くなりそのまま稽古を続けられる方もありますが、多くはその時限りと言うことになります。その後にご自分で講座で体験したことを意識し続けなければ、なかなか成果には繋がらないのではないかと思います。
今回のように、何年か経って効果の出ている方があるのを知ることができたのは、本当に嬉しいことでした。これが講座を受け持たせていただく楽しみの一つです。


講座を通じて、一人でも多くの方が、姿勢が良くなったり、呼吸が改善されたりしていたらいいなと思います。そうなれば声の響きがよくなるだけでなく、その方の健康にも間違いなく繫がると思うからです。

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