喉を開く2

前にも「喉を開く」ということをブログに上げましたが、稽古でとても良い成果が生まれ、この頃は稽古でお直しするたびに「喉を開いて」といっています。
そういう中、またまた印象に残るできごとがありました。
同窓会で5年ぶりにお会いした方で胃の四分の三を切除するという大手術の後に上半身が傾き、退院したあともそれを戻そうとリハビリやウォーキングなどで頑張っているとのお話を伺いました。そのうえで
「声が出づらいんですよ。どうすればいいでしょう?」
とご相談を受けました。
私が発声を教えてることをご存知だったのです。
そこで
「多分手術なさったために、体が傾き、顔が前に出たことで、声が口先に出てしまって、出そうとすればするほど喉に負担がかかっているのかもしれません」
「喉が締め付けられている状態かもしれないので、喉を開いてみたらどうでしょう」
と言って、前のブログで述べたように、英語の喉の開き方と違う、日本語のための喉の開き方、「欠伸をかみ殺す」をお教えしてみました。すると喉が横に開きます。そのまま声を出してもらうと、体の中で響きました。それだけではありません。喉を開くために顎が首筋に惹きつけられたことで、背筋が引き上げられ、曲がっていた体が、グッと上に伸びたのです。その方も私もビックリ!
ずっとそうしているのはまだ筋力が伴っていないので難しいことでしたが、
「時々意識してこの状態を作っていると、声にも姿勢にもいいかもしれませんよ」
とお伝えしました。 
「喉を開くと背筋も伸びる」
それがはっきりして嬉しくなりました。
その方もなんだかお顔が明るくなって
「リハビリ頑張ります」
と言ってくださいました。来年お目にかかるのが楽しみです。前向きな方ですから、きっと元気になってらっしゃる、と思えました。

それからニ三日して、定期的に通っている鍼治療に行きました。
仰向けの状態で鍼を打っていただき、体を温めてしばらくそのままでいるのですが、だんだん眠くなり欠伸が出ました。「ん?」お腹が縦に引っ張られた気がしました。「もしや」と思い、「欠伸をかみ殺す」をしてみました。すると、やっぱり……お腹が横に広がった気がしました。
施術が終わって、立ったり座ったりして、同じことをやってみました。やはり体の中が同じ感覚になります。
始めの頃のブログに「縦線文化と横線文化」と題して、西洋と日本の文化を比べ述べているのですが、
「体の中にもあった!」
と興奮してしまいました。
口を縦に開ける英語、声楽の発声ではお腹も縦に働いている。
口を横に使う日本語、和の発声ではお腹は横に働いている。

すごい発見のような気がしています。

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