親しくさせていただいている囃子方の先生からメールが届きました。
何日か日にちをあげ、その日が空いているかどうかのお問い合わせでした。たまたま空いていましたのでその由お返事すると、改めてメールが届き、ある催しへの出演依頼でした。
とても信頼申し上げている先生で、いつもこちらからのお願いばかりで、お世話になっています。お声掛けくださるのは珍しく、もしお役に立つならお受けしたいと思い、その由お返事したところ、しばらくして催しの繊細のお知らせをいただきました。
驚きました。思いも掛けないお舞台だったのです。私がいただくお仕事は能関係のものか、またはワークショップです。特に「声」に関してのワークショップは多く、今回もその方面かなと想像していたのです。
そのお舞台は、能管、龍笛、琵琶など和楽器の分野でご活躍なさっている皆さまとご一緒に、新しい舞台を作り上げるものでした。台本はその先生がお書きになるとのこと。私のお役は謡を謡うことに加えて、進行を兼ねた語りをすることでした。
その催しはもう25年も続いているとのこと、私も何度か拝見に伺ったことがあります。いつも楽しませていただいていましたが、まさか自分が舞台に立つ側になるとは思いも寄りませんでした。台本が届いたらお顔合わせして何度か稽古を重ね本番を迎えるとのこと…。
「声の道場」には、語りをなさっている方もよくみえて、呼吸や発声をお教えすることがあります。また、短いセリフなら息遣いを替えたり、感情を込めて言ってみせることもあります。
けれども舞台で実際に演技をしたり語りをする、という経験は一度もありません。
謡は別として全体を繋ぐ役割の「語り」、どうなるのか見当もつきません。
台本が届いたらしっかり読み込み、皆さんにお教えしたことを実践して、初めてのお仕事に挑戦しよう、と腹を据えました。