椅子と姿勢

私は「声の道場」を開いている関係で、時々ワークショップや講演を依頼していただくことがあります。その際、現地に行って一番先にする事があります。それは会場や教室の椅子を調べることです。
いわゆる座り心地のいい椅子は話を聞いていただいたり体験をしていただくときには向いていないのです。背もたれがないのが一番なのですが、もし背もたれがあってもなるべくお尻が後ろに沈み込まない固めの椅子がありがたいのです。
もし後ろによりかかりやすい椅子だった時は、様子を見て、姿勢と構えの話をし、浅く腰掛けて腰を立て背筋を伸ばした姿勢をとってもらうようにしています。
面白いことに寄りかかっていた人たちがその姿勢をしてくださると、その場の空気が一気に変わります。そしてよく話を聞いてくださるようになり、実践していただくときも成果が上がるのです。

以前のブログで、呼吸にはリラックスするためと力を発揮するための二種類の息の遣い方があるということを述べました。
それと関連して椅子にも二種類あるのです。座り心地がよく気持ちよく寄り掛かれる椅子はリラックスしたい時のもの。人の話を聞いたり何かを身につけたいというときには、背筋を伸ばし前に重心が掛けやすい固めの平坦な椅子のほうが向いています。リラックスして座っていると、話を聞いているうちに気持ちよくなりつい眠ってしまうことが多くなると思います。眠らなくても聴くことに長い間は集中できなくなるでしょう。
姿勢を注意して腰を起こしてもらうと部屋の空気が変わるのは、皆さんの気が集中することによって変わるからなのです。

前に中学校に講演に行ったことがあり、その時の生徒の感想の中に
「姿勢良く勉強に集中できるようになると、深夜でも眠くなりにくいことがわかりました。これからも姿勢に気をつけて生活していこうと思います」
という文がありました。
姿勢の大切さを話しただけでしたが、受験勉強中に集中できる姿勢に自分で気づいてくれたのです。
他にも
「講演を聴いてから正しい姿勢を心がけたら物事により集中できた」
という生徒もいました。
声が響くようになったという感想はたくさんありましたが、姿勢と生活の関わりに気がついてくれた生徒も多く嬉しいことでした。
その時の講演でも、最初に背もたれに寄りかかっていた多くの生徒に姿勢の大切さを話し、浅く腰掛けて重心を前に掛け、腰を立て背筋を伸ばすようにしてもらって、その場の空気が変わったのは言うまでもありません。

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