私は能楽師として謡や仕舞をお教えするのと並行して、「声の道場」や「能エクササイズ」で能の発声や動きを基本にした「和の体の使いかた」をお教えしています。
能の力を伝えたい広めたいと始めた「声の道場」「能エクササイズ」でしたが、いろんな方と相対する中で「日本人の声が危ない」「日本人の体が、心が弱ってきている」と感じるようになり、今では「和の体を先へ繋ぎたい」と思うようになりました。
今年は「繋の会」として、師匠や親の芸や思いを少しでもを繋いでいくというコンセプトの会を発足しました。
それとともに舞台ではない日常での自分のライフワークとして「和の体を先へ繋ぐ」ことを目指したいと思っています。
西洋化してきた現代人。もちろんそこに素晴らしいものもあるのですが、一方で日本で長年育まれてきた体の有り方、これはなくしてはいけないと思うのです。そのものが忘れ去られると、それに即した動きや発声というものが崩れてきてしまうのです。それは間違いなく日本人の良さを失うことに繋がります。
修行や稽古でそれが身につく人たちだけでなく、特になにかといってしていない人でも、日常に日本人の体の在り方を意識して持ち込むことで、和の姿勢や発声、それに繋がるコミュニケーション、そしていちばん大事な健康的な生活にプラスになって行くと信じています。