朝日新聞の朝刊に、毎日「折々のことば」というエッセイがあります。時々私のアンテナにピッと来るものがあるのですが、ある時「わからなさを面白がる」という文に目が止まりました。
玄田有史さんの「希望のつくり方」という本からの言葉でした。
ある中学生の「勉強をして将来役に立つことがあるのか?」という質問に対し、労働経済学者の方が「わからないということに馴れるためにするんだよ」と答えられたそうなのです。「世の中にはまだまだわからないことがたくさんある。そのわからないことを面白がれることで道が開けていく」と。
確かに学校の勉強は面白いことばかりではありません。試験があるので仕方なく勉強する、でもわからないことに向き合っているうちに、ある分野に関することだけは、わからないことを面白いと感じるようになることがあります。そこから得意分野となり深く学習、研究をするようになり一生に繋がることもあるかもしれません。わからないことで繋がる人との出会いも面白い。それは勉強だけでなくスポーツや芸術の分野でも同じです。
わからないから面白い。一つわかるともっとわからないことが先に待っている。それが楽しい。私にとっての能はまさに「わからなさを面白がる」そのものだと思いました。