コロナの感染を防ぐ為に「大きい声を出さないように」「歌は心のなかで歌って」などと言われ続け、子供たちが精一杯声を出す機会が奪われ、その結果呼吸が弱くなって健康に良くないのではと危惧しています。
それでなくても普段からいろんな場所で「静かにしなさい」と言われることが多い子供たち…。
昔、家の中で遊んでいる子供たちの声があまりに大きいので思いついた遊びがあります。「声を出したら負け」という遊びです。かといって黙っているのではありません。ひそひそ声で表に声が出なければいいのです。これは結構面白がってくれました。そしてしっかり息を遣わないと周りに言葉が通じないのです。ひそひそ声といえども口先で話しても聞こえない、そのため自然に顎を引いて奥で話せば息だけの声でも言葉として感じられることがだんだんわかってきます。一生懸命、息を遣おうとするのです。
もともと声を出すのが得意でない子とは「内緒話ごっこ」もいいかもしれません。
「声の道場」にみえる方で、顔が前に出ている人は外に向けての大きな声を出せてもすぐ喉が嗄れてしまう、という例が何人もありました。そういう方はひそひそ話ができない、ということにも気がつきました。体の中の息に少しだけ響かせて話すのがひそひそ話だということがそれでわかったのです。人前でこっそり話すようなひそひそ話は嫌なものかもしれませんが「はっきり聞こえるひそひそ話」の遊びなのです。
ひそひそ声は知らないうちに、呼吸筋を鍛えるように思います。ひそひそ声とはいえはっきり相手に伝わらなければいけないので、自然に前に出る顔を体にひきつけるようになります。呼吸を深くし、発音まで自然になる。騒がしい声は静かに、通らない声には響きが出る、一石二鳥いや三鳥かもしれない、と思いました。
このことからもう一つ楽しんで顎をつかう訓練法を思いつきました。「腹話術ごっこ」です。日本語はあまり口を縦に開けずに話せるので腹話術に向いているのです。実際に腹話術のできるかたにやってもらって興味を持たせられたら一番いいと思いますが、今はYouTubeなどで探すと動画もあるので、見せてあげたらいいと思います。奥歯を噛んだまま話すことを楽しく練習するのです。「こんにちは」「さようなら」「ありがとう」など簡単な普段に使う言葉から始めて、馴れたら早口言葉なども言ってみます。口先で言うのは難しい言葉が口を閉じたまま奥で発音するといとも簡単に言えたりしてびっくりするかもしれません。
口の中で発音され体に響いた言葉は、口を開けて大きな声で言った言葉よりも、小さくても意味がよく通じるのです。奥歯を閉じたまま話す練習は私もワークショップなどでよく使います。皆さんに私が言うのを聞いてもらったり、それぞれ実際にやってもらったり、納得していただいています。ブログにも書いている「仰向けでイロハ」を実践なさった方は「奥歯を噛んだままイロハ」もいいかもしれません。子音の自然な発音がよくわかると思います。
日本歯科新聞社の「アポロニア21」の取材をきっかけにこどもの「口ぽかん」を直す方法として考えたことですが、呼吸を自然に深くする効果があるような気がします。もちろんおとなにも息を深める効果があると思うので、お子さんやお孫さんと遊びながらなさってみてください。なにはともあれ、子供たちが楽しんでやれたらいいなと思います。