前回「肋骨を動かす」で体の中から連動しての動きのことを述べました。
呼吸との関係、能の動きのことを繋げていくうちに、皆さんに「体の中から末端に繋がる」ことを感じていただけるかなと思う方法をまた一つ見つけました。
能エクササイズでは最初の頃から「膝にクッション(畳んだバスタオルでも)を挟み、骨盤を締めてのスクワット」を取り入れています。
もともとは私が50代で膝を痛めたときに、O脚を治すために教わったトレーニングでしたが、腰から背骨、肩甲骨、腕と、順に呼吸と連動して動きを体感していただく腰を感じる能エクササイズとして始めたのでした。
この動きは「体の中から末端に繋がる」ことに他なりません。もう一度違う観点からこれを使ってみようと思いました。
というのは、仕舞や能エクササイズで手の動きなどをを直そうと皆さんの肩や腕を触ったときに、とても硬くて力が入っている方が多く、何か力を抜くいい方法はないかと考えていたところだったのです。
頭で考えながらの動作はなかなかスムーズにいきません。今までのやり方では、スクワットで肩甲骨までは呼吸と連動してイメージ通りできても、腕を動かす時は簡単に頭で考えて勝手に動かせるので、中から順に来た動きが切れ、先に手先(末端)から動いてしまい、呼吸と連動した動きにならなかったのです。
そこで考えました。
・スクワットから続けると息を鼻から少しずつ出しながらという呼吸が持続できないのかもしれない。
・体を沈めず、立った状態で骨盤を締めるところから始めてみよう。
・腕もあまり上げず、少し持ち上げるくらいまで。
・そして吸う息を意識せず、入った息を考える間なく吐く息に連動させ繰り返す。
これを何人かの方にためしてみました。
リズムに乗って何度も繰り返しやってみました。少しずつ動きを大きくすると…鳥の羽ばたきの様です。初めて飛び方を習う、翼を広げようとするときのイメージ…。これは自然に脳を使わない動きになります。力が入らない動きです。
「鳥が羽ばたくように」吐く息と連動して繰り返しているうちに脳を使わなくなる、これを能エクササイズに取り入れようと思います。
肩の力を抜いた状態で
「体の中から末端に繋がる」
その体感を感じていただけたらと思っています。