苦しみを楽しむ

久しぶりの休みに、いただいた一冊の本を読みました。私には少し難しい本だったのですが、感覚的にとても興味深かったので、飛び飛びながら読み進めて行く中、文章の中から私の目に飛び込んでくるような文に出会いました。

「苦しみを含んで生きることをゆったり楽しんで息するからこそ、新鮮さと自由さとをもって粘り強く努力し続けることができる」

とても共感しました。

私が40歳のとき、能楽師として玄人の道に進むことを決心した折、師匠に言われた言葉があります。
「能を楽しむには二通りある。ただ単に楽しむのと苦しみを楽しむのと。素人さんは好きなように楽しめばそれでいい。玄人は苦しみを楽しみにしていかなくてはいけない。あなたはそれが向いていそうだから頑張りなさい」
と。

その後、家庭との両立、次から次に覚えなくてはならないことの連続、体力的にも時間的にも相当大変でしたが、好きなことができる中で「このくらいまだ苦しくない」との思いを何度もしながら楽しんでいたように思います。苦しいかな、と思ってもそれを通り過ぎた時の楽しさのほうが勝るのです。
歳を重ねての新たな発見、体力が落ちることによってもそれを乗り切るための方法や新たな行き方を楽しんでいる、いまだにそれが続いています。
怪我や病気でも最初は苦しいのですが、その度に学びや発見を楽しんでいる私がいます。

これまでも何度もブログに書いてきたように、なにか起こっても、できない中になにかを見つけ「転んでもただでは起きない」それを楽しんできたような気がします。

私にもこれまでいろんな人間関係の中で嫌な思いもあったはずですが、そういうものはあまり残っていません。いい思い出ばかり残っています。これも「苦しみを楽しむ」姿勢の産物なのでしょうか…。

こういう考え方を身に付けさせてくれた両親、いろんな道でお教えいただき、気づきをいただいた先生方に、改めて感謝の念を感じることができて、ありがたい読書となりました。

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