明けましておめでとうございます。
想像もしていなかった年になってしまった2020年も終わり、いつものように新年を迎えました。それぞれの思いを胸に、初日の出に手を合わせられた方も多いと思います。新しい年明けが良い方向に向かうことを心から祈るばかりです。
「弱法師」の謡の中に「日想観を拝みそうらへ」という言葉が出てきます。「日想観」とは・・・西の空に沈む太陽に極楽浄土を観相し、静かな心で夕陽を見つめ、自身の内面と向き合う、という仏教修行のひとつ・・・だそうです。昔から僧侶だけでなく一般の人々にも広まっていたといいます。
「日想観」という言葉を見聞きする度に思い出す景色があります。実家の裏山には代々のお墓があり、お盆のお精霊様をお送りした帰りにいつも見ていた、里山に沈む大きな夕陽・・・。子どもながらに心が解放されるような、なんとも言えない穏やかな気持ちになったことを覚えています。
両親も「日想観」の話をしてくれました。
「初日の出など朝陽を拝む人は多いけれど、夕陽を拝む人はこの頃少なくなってきている。これから一日を照らしてくれる朝陽を拝むことはもちろんだけど、今日一日を照らしてくれた夕陽に手を合わせる気持ちを忘れないようにね。日想観をおがみそうらへだよ」
そして人生にも例え
「今お世話になっている方、またこれからお世話になる方だけでなく、これまでお世話になった方々を大事にしなくてはいけないよ」
とも教えてくれました。
世の中がどう変わろうとも、自分がどんなときでも、「朝陽」が上り「夕陽」が沈む。「前向きな気持ち」と「感謝の気持ち」を忘れずに生きていきたいと思います。
本年もよろしくお願い申し上げます。