呼吸と動きを連動

前にUPした「鳥の羽ばたき」「花が開くように」など一連の呼吸と連動させる動きは、腰と腹を意識しないで使うため、腰回りを強化するのにとてもいいことがわかってきました。謡や舞のためにも、もちろん健康のためにも、トレーニングとして皆さんにお勧めしたいと考えるようになりました。
これまでの能エクササイズでのストレッチとともに、もっと息と連動させることを念頭に置いてお教えしたいと思っています。
当初考えていたのは、仕舞に役立つだろう、ということだったのですが、この頃では謡にもよい影響があると感じています。

今回これらの動きのために実践している体の中に吹き込むような「ンーッ、ンーッ、ンーッ」という息遣いの稽古は、上手くできるようになると、謡の稽古の時に私がいつも注意している「まずは一文字目をお腹の壁にぶつける」という感覚が掴めるかもしれません。

50代で膝を傷めたときも、二年前にアイスバーンで転び腰を傷めた時も、治療と自己ケアをしているうちに、いろんな学びが有り、新しい稽古法や体の作り方を見つけました。本当に「転んでもただでは起きない」という前向きな姿勢の産物のようです。
今年の初め手首を傷め、ほぼ治ってきた現在も、今回の自己ケアから、これまで朧げであった「呼吸と連動する動き」というものの形が見えてきた気がしています。昔から考えていた二種類の「一息」との関連も見えてきました。(声の道場2参照)

肋骨を動かす」ときの呼吸は、「ゆっくり吸ってゆっくり吐く」リラックスのための「一息」、対して「鳥の羽ばたき」「花が開くように」の呼吸は、「まず吐き切って意識せず入る」力を籠めるための「一息」。
この二種類の呼吸をバランスよく使うことで、人間は頑張る時とリラックスする時を心地よく生活していけるのだと思います。そしてそれは体力だけでなく胆力も鍛えることに繋がるのではないかとさえ感じています。

あらためて呼吸と動きの関係を皆さんに感じていただけたらいいなと思うこの頃です。

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