世阿弥は「風姿花伝」の中で、一生を通じての稽古のあり方を述べています。6、7歳の頃は自然に動き回るところに風情があるのだから、なるべく心のままにさせなさい、と述べています。良いとか悪いとか教えて厳しくすると小さくまとまっ […]
時々の初心
入学式や入社式などの祝辞などでよく「初心忘るべからず」と言う言葉を使われることがあります。この言葉は「風姿花伝」の中で世阿弥が述べているのですが、普通に思っているのとは少しニュアンスが違います。それは私が能を始めた頃「風 […]
閑心遠目
「心を長閑にもって遠くを見る」世阿弥が「二曲三体人形図」の中で述べている、老人を演ずるときの教えです。能はひとりの役者が曲によって、男性、女性、若者、老人、すべての役を演じるので、言いかえればあらゆる役の物まねをするとい […]
「天鼓」と「藤戸」
6月19日(日)の梅流会にて、仕舞「天鼓」を舞わせていただきます。 「天鼓」は演能の機会を二度いただきました。その時のエピソードなのですが、ある先生から「女性が演じるときは、前シテを父親でなくて母親にしたらどう?」と言わ […]
間狂言
私が能を観始めたのは大学を卒業して福岡の実家に帰ってからでした。最初の頃、何もわからないながら能を観て不思議に感じたのは前場と後場の間の狂言の語りでした。前場でのシテとワキの話で、だいたいわかったている内容を、繰り返し語 […]
こころみの会をもう一度
「こころみの会」を休んでから今年で10年になります。前向きの一時的休止でしたが、「声の道場」や「能エクサイズ」で能が健康に繋がるということを伝えたいということに気持ちが向いていて、会の企画が前のように溢れてこなくなってい […]
緑桜会稽古会
やっと…本当にやっと催せました。一昨年の4月、番組もできてあと一週間というところで緊急事態宣言発令…。中止やむなしとなりました。それから2年、緑桜会稽古会としては3年ぶりのの開催!会を催すに当たって参加のご希望を伺ったと […]
謡と仕舞による源平の盛衰
今年の大河ドラマ「鎌倉殿の13人」は、これまでの源平の戦いを描いたたくさんのドラマとは変わった捉え方がされていて注目を集めています。考えてみたら私達が持っている源平の合戦のイメージも平家物語や源平盛衰記などの物語によるも […]
楽の代償
このごろ「世の中の便利になる速度について行けないな」と思うことがよくあります。その恩恵に助けられているところも勿論ありますが、なんだか「楽」をすることで人間の感覚の緻密さを取られていく気がしてしまうのは私だけでしょうか… […]
あの時の男の子
能楽師になって初めの頃、小学校に通っている娘が言いました。「ママ、学校の友達みんな能って何か知らないんだよ」子供たちは私の舞台を観に来たこともあり、私の実家には敷舞台があり、扇や写真もたくさんあったので、みんなが能を知ら […]